研究概要 |
絶体的免疫電顕法とは生化学的に測定した細胞内抗原タンパク質の分子数とプロティンA-金コロイド法で標識した金コロイド粒子との関係を求め、免疫電顕法によって超薄切片上で抗原タンパク質の絶体数を推定する法である。本試験研究では、三つの系について定量的解析を行い、絶体法が成立することを証明した。 1).Na,K-ATPase:ラット腎ネフロンの上皮細胞におけるNa,K-ATPaseの分布を金コロイド法で定量し、Pfallerが形態計測法で求めたネフロン上皮細胞の底・側細胞膜の表面積を導じ,ネフロン各部におけるNa,K-ATP-aseの総量を推定した。次にKatyらが顕微生化学法によって測定したネフロン各部のNa,K-ATPaseの量との相関係を求めた。r=0.95で,金コロイド法による定量的解析の信頼度が高いことが証明された。 2)DNP抗体を用い、DAMP法で電顕レベルでリソソーム内のpHを測定し、このpHがFITC-デキストラン法で蛍光顕微鏡的に測定した値とよい一致を示すことを証明した。本研究から、この系も絶体的免疫電顕法が成立するか否かを検定する目的で使用し得ることがわかった。 3)p-450:フェノバルビタール(pB)誘導性p-450(p-450IIB)に対する特異抗体を作製し、pBを投与したラットからO(注射前)8,24,48,72時間目に肝より粗面シクロソームを調製し、p-450IIBの量をイムノブロット法で定量した。他方同じ粗面ミクロソームを固定後LR-Wfuiteに包埋し抗p-450IIB抗体を用いて金コロイド法で染色し、小胚体膜1μm当り結合した金粒子の数(粒子密度N)を求めた。その結果両者の相関係数は0.99で、Nはp-450IIBの量と正確に比例することがわかった。なお標識効率は約20%であった。
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