配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
1993年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1992年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1991年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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研究概要 |
C型肝炎の肝細胞障害機序の解明および治療への応用を行う目的で,C型肝炎特異的細胞障害性T細胞の細胞障害性をブロックする,T細胞受容体可変部領域あるいは抗原認識部位に対する抗体の作製を試みた.C型肝炎患者肝細胞特異的細胞障害性T細胞株TA-NB-2細胞のT細胞受容体を遺伝子工学的に発現させるため,TA-NB-2細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングして得られたT細胞受容体β鎖のcDNAクローンを複数個核酸配列を解析したところ,少なくとも3種類のT細胞受容体が存在していることが明らかになり,TA-NB-2細胞はモノクローンではないことが判明した.そこで,C型肝炎肝組織浸潤リンパ球に選択的に使用されているT細胞受容体の解析と新たなC型肝炎ウイルス特異的細胞障害性T細胞株の樹立を試みた.C型肝炎患者肝組織浸潤リンパ球からのT細胞株の樹立を5例の患者で試み,内1例では多数のT細胞株の樹立ができたので,PCRによるT細胞受容体の解析を行った.その結果,Vβ2,Vβ6.1-3,Vβ7が選択的に利用されていることが判明した.これらT細胞がC型肝炎ウイルス特異的であるかどうかは不明であるが,特異的である場合はこれらT細胞受容体に対する抗体は肝炎の治療,予防に利用できる可能性ある.また,新たに慢性C型肝炎患者末梢血リンパ球をC型肝炎ウイルスコア抗原合成ペプチドで刺激することにより,HLA B44拘束性にC型肝炎ウイルスコア抗原アミノ酸88-96を抗原エピトープとして認識する細胞障害性T細胞の誘導に成功し,クローン化にも成功した.今後,このクローンのT細胞受容体の解析,遺伝子クローニングを行い,特異的にT細胞受容体に結合し,細胞障害活性を抑制する抗体の作製を行う予定である.
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