研究概要 |
初年度は自作機を用いて新生ラット頭蓋冠由来骨系細胞やヒト歯根膜由来細胞に適当な伸展距離や伸展周期を設定するための基礎的データを集めながら,装置に使用する部品の使用テストを行った。その結果,当初予定していたソレノイド駆動方式では,炭酸ガス培養器中で十分な耐久性が得られないことが判明し,防水モーターとカムを使用する方式に変更した。これによって,耐久性の向上だけでなく,カムの形状を変えることにより,ソレノイド方式では不可能な外力の負荷速度の調節がある程度可能になった。この防水モーター・カム駆動方式の装置は初年度中に完成し,耐久試験や細部の改良に着手した。次年度には完成した装置を使って細胞に外力負荷を加える使用実験を行いながら,細部の改良を繰り返し,ナイロンメッシュとステンレス棒の接着法の改良や,培養細胞の播種における操作性を向上させるための周辺器具の作製などを行った。一方,より複雑な外力負荷速度の調節を可能にするための,パルスモーター駆動方式の装置は,炭酸ガス培養器中での使用に耐え得るものが無く,結局ある程度の耐久性で妥協し平成5年1月に装置として一応完成させたが,十分な耐久性のある実用的な装置として完成させることはできなかった。最終年度には,新生ラット頭蓋冠由来骨系細胞やヒト歯根膜由来細胞を使って外力を負荷する使用実験を繰り返しながら,試料保持部等に若干の改良を加えた。本研究ではパルスモーター駆動方式を完成させることはできなかったが,当初予定していなかったカム駆動方式を採用することで,目標の性能をほぼ満足し,実用に耐え得る耐久性と操作性を備えた装置を開発することができた。
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