配分額 *注記 |
9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1991年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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研究概要 |
パーキンソン病は、神経変性を伴う代表的な運動系疾患の一つであり、多方面から長年にわたり研究が進められている。しかしながらその病因に関しては現在までのところ解明されていない。またパーキンソン病に対する薬物療法は、そのほとんどが減少している神経伝達物質であるドーパミン等の補充療法に終始している。そこで本研究は、従来のアプローチとは異なりパーキンソン病発症及び防御と関連があると期待される内在性脳内アミンをリ-ド化合物として取り上げ最終的に抗パーキンソン病薬の開発を目指した。 まず(1R,3S)-1,3-DiMeTIQ及び(1S,3S)-1,3-DiMeTIQをそれぞれ不斉合成を行った。続いて両化合物それぞれの薬理作用を比較する目的でddY系雄性マウス(5週齢)に腹腔内投与後の自発的運動量の変化をOpen Field Testを用いて検討した。その結果、いずれも用量依存的に移動量(ambulation)を増加させ、持続性も増大させたが、作用としては(1S,3S)体の方が強かった。次に新たなTIQ誘導体として1,1-DiMeTIQ、3,3-DiMeTIQ、1,3,3-trimethyl-TIQ(1,3,3-TriMeTIQ)を合成し、ddY系雄性マウス(5週齢)に腹腔内投与した場合のLD_<50>を他のTIQ類と比較した結果、1,3,3-TriMe体>3,3-DiMe体、(1R,3S)体、(1S,3S)体>1,1-DiMe体>1-MeTIQ、TIQの順に急性毒性が強いことが明らかとなった。これは、メチル基の数が増えるに従い脂溶性が増し脳への移行性が高まることも要因の一つと考えられる。 以上述べたように、メチル基の有無や置換位置、立体配置の違いによりTIQ類の活性は大きく変わる。このことは、TIQ誘導体の構造活性相関を考える上で重要な知見であると思われる。今後上記の知見を踏まえて抗パーキンソン病薬の開発に向け研究を継続したい。
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