研究概要 |
1.高速液体クロマトグラフィー用チタニア充填剤の製造とその評価テトライソプロポキシチタンを種々の条件(水,アンモニア,硫酸,硝酸)で加水分解し,各々得られたオルトチタン酸を原料としてチタニヤ粒子を製造・比較した。それらの分離特性をp-ニトロベンゼン誘導体を用いて検討したところ,アンモニアまたは硝酸の存在下に加水分解を行う方法が優れた分離性能を与えることが判明した。次に,チタニヤ粒子の造粒法を検討した結果,スプレードライヤー法では空洞のある粒子しか得られなかったが、覚濁造粒法はクロマトグラフィーに適した粒子を与えた。このようにして製造したチタニア(平均粒子径5.7μm)は,シリカゲルでは分離できない3種のクレゾール異性体(o-,m-,p-体)を良好に相互分離した(移動相はヘキサン:イソプロパノール=95:5)。 2.チタニアの選択的吸着能吸着クロマトグラフィー用充填剤としてチタニアを使用した結果,O-リン酸基やN-リン酸基を強く保持する特性が示された。この性質を利用することにより,生体内に存在する各種リン酸化合物の選択的分離濃縮が可能であった。また,アルカリホスファターゼの活性測定に応用した場合には,妨害となる多量の基質が容易に除去できるため,格段な感度の向上(約50倍)が認められた。 3.化学結合型チタニア充填剤の試作と分離特性の評価上記1.の方法で製造したチタニヤ粒子にオクタデシルトリエトキシシランを反応させ,C18結合型チタニア(ODT)を合成した。ODTの分離特性を種々の溶質について調べた結果,基本的にはC18結合型シリカ(ODS)と同様,逆相モードによる分離機構が支配的であることが確認された。しかし,塩基性溶質については,逆相分離に加えてマトリクスとしてのチタニアの特性(イオン交換及び静電相互作用)が分離結果に大きく影響を及ぼすことが判明した。
|