研究課題/領域番号 |
03559006
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
笠井 献一 帝京大学, 薬学部, 教授 (40001052)
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研究分担者 |
伊藤 尚史 旭化成工業, 医療科学研究所, 主任研究員
野口 康二 旭化成工業, GS開発室, 部長
平林 淳 帝京大学, 薬学部, 助手 (40156691)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1993年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1991年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | DNA / サイズ分離 / スラロームクロマトグラフィー / HPLC / 核酸 / スラロ-ムクロマトグラフィ- / 環状DNA / ス-パ-コイル / リラックス / 付着末端 / λ-ファ-ジ |
研究概要 |
スラロームクロマトグラフィーは本研究者らが発見した、巨大なDNA分子を大きさに従って分離する画期的な手段である。従来のクロマトグラフィーがカラム内での平衡現象に基づいているのとはまったく異なり、充填剤の隙間をDNA分子が移動するときに起こる流体力学的現象に基づいている。今回の研究により、原理面からはきわめて興味深い知見が得られ、今後の応用面での発展に大いに寄与しうる成果が得られた。DNAのサイズ分離に関与する主要な因子は、充填剤の粒径、溶離液の流速および粘度、温度などである。これらはいずれも、充填剤粒子の隙間に生じた流路に形成される層流の勾配の形を決めることになる。従って、層流の中で引き伸ばされたDNA分子の各部分について見ると、長いものほど低流速部分に入り込む部分が増加することになり、遅れが大きくなるとして説明できることが判明した。一方、環状のDNAについては、スーパーコイルでは、半分の分子量の直鎖状のものと同じ程度の遅れを示し、スラロームクロマトグラフィーでの溶出位置を決めるのは、分子の抽象的な大きさではなく、物理的長さそのものであることが証明された。リラックス型、シングルストランド型では独自の流速依存性が見られたことから、DNA分子の動的高次構造などの物理化学的性質を研究する手段としても有望であることが示された。実用上の課題として、分画範囲を可能な限り拡大するために、様々な化学的および物理的な特性を持つカラム充填剤を追求した。そのうちで、スラロームモードと弱い疎水性クロマトグラフィーモードを組合せ、いわゆるミックスモードとすることで、低分子側の分離性能を向上させうることが明らかになった。実用に関しては、cDNAをクローニングに先立って効率的にサイズ分画するのに有効であった。現在企画されているヒトゲノムプロジェクトへ十分に貢献できるものと期待される。
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