研究課題/領域番号 |
03610002
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
松本 正男 山口大学, 人文学部, 助教授 (00127789)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 概念 / ヘーゲル / フィヒテ / 反省法則 / 弁証法 / 知的直観 / 表象 / 志向性 / 論理 / 知識学 / 事行 / 「反省法側」 / 「知的直観」 / 「知識学」 / エ-ネジデ-ムス=シュルツェ / ラインホルト / 「意識律」 |
研究概要 |
外見的に、フィヒテ哲学は、「絶対者」と「絶対知」の区別を値引きできない根本主張とする立場として、ヘーゲル哲学は、「絶対者」と「絶対知」の同一性を思考の要とする立場として、明かな主張の対立を示している。知のあり方に関するこの基本的対立は、根底的に、ヘーゲル、フィヒテ双方の〈概念〉理解の相違に根ざしている。ヘーゲルのいわゆる弁証法的な〈概念〉理解に対して、フィヒテには、「反省法則」という語に指標的に示される、ある別の〈概念〉理解がある。〈概念〉は、「生」が自分自身に対して透明となる運動行程のなかで、決定な役割を果たすが、〈概念〉に関する両者の理解の相違が、この役割の理解の差異に緊密に結びついている。 フィヒテの〈概念〉理解は、特に後期知識学、及び『論理学の、哲学あるいは超越論的論理学に対する関係』等において、完成した形態を示し、そして、この〈概念〉理解の内実、体系構築のなかにそれが反映する仕方は、後期フィヒテの中心理論をなす「像」や「現象」の理論と本質的な関連を持つ。しかしその理論は、前期の「知的直観」概念と、見かけよりもはるかに大きな内的連続性を持っている。そこで、フィヒテの〈概念〉理解は、初期の「知的直観」導入の時期に立ち戻り、その経緯を正確に辿ることなしには、十分な解釈を望み得ない。つまり、その解釈は、シュルツェの懐疑論的批判を念頭に置いて、ラインホルトの根元哲学との血縁関係を確かめつつ、前期知識学における〈概念〉観、論理(及び論理学)観、表象における志向性の成立の問題を、知的直観の問題と実践的自我の問題との連関において、トータルに取り扱うことぬきには、不十分なままに留まらざるを得ない。
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