本研究は、先秦時代における中国の主要な地方文化の一つとして重要な位置を占める斉文化の研究を目的として、『管子』を取り上げたものである。 具体的には、もっともその成立が古く、いわば『管子』の中核をなしているとされる経諸篇(全9篇)と、その解説を目的として編まれたとされ、従ってその成立は『管子』中もっとも後期に属するとされる解諸篇(全4篇)とを取り上げて、思想分析の前提とすべく、その役解の作成を当面の研究課題の第一とした。第二に、その研究に並行して『管子』全文のデ-タ入力作業をすすめることとした。 第一の研究としては、数名の研究者との共同作業として行ったが、訳解の完成を見たのは、牧民・形勢・形勢解の三篇であった。そのうち形勢解篇の訳解(400字×170枚余)が1991年度日本女子大文学部紀要に掲載されることとなっており、他は後日の機会を得て順次発表していくこととなろう。 第二の作業としては、テキストファイルの形式での一応の入力は完了した(使用テキストは台湾中華書局刊行の四部備要本『管子』、立36字×30行×159頁)が、使用されている漢字には、当然JIS漢字表にないものが多数含まれており、それらの中「JIS補助漢字ソフト」(エ-アイ出版製)を使用してもなおカバ-しきれない漢字が多く、今後一層万全を期さなければならないこととなった。 それゆえ、デ-タベ-スソフト「桐」(管理工学研究所製)を用いて一字索引として機能する『管子』全文のデ-タベ-スをも作成する予定であったが、外字問題の一部未解決のため今後に持ち越さなければならなかった。ただし、テキストデ-タベ-スソフト「パワ-サ-チ」(株式会社アシスト製)を利用すればテキストファイルのままでの一字検索は現在でも可能である。
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