研究課題/領域番号 |
03610018
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 廣治郎 東京大学, 文学部, 教授 (40012984)
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研究分担者 |
東長 靖 東京大学, 文学部, 助手 (70217462)
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (70152840)
竹下 政孝 東京大学, 文学部, 助教授 (30163398)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | イスラム / コ-ラン / タフスィ-ル / 注釈 |
研究概要 |
1.補助金交付の連絡を受けて6月に研究方針を話し合う会合をもち、前半は各自が個別研究を行い、後半でそれを発表しあい、共同討議を行うこととした。 2.各自が研究を行っている期間を利用して、7月には東京外国語大学のムハンマド・オデイマ氏(外国人教師)に「ニッファリ-の生涯と思想〜ス-フィズム史に占める位置」という研究発表をしていただいた。ここではニッファリ-の思想の源泉として、キリスト教、ユダヤ教、先行する神秘家の思想とならんでクルア-ン(コ-ラン)がとりあげられ、それを神智にもとづいて解釈した彼の思想が、後代に大きな影響を及ぼしたことが指摘された。 3.6月に決定した方針に基づき、秋から以下のような研究発表が順次行われた。まず中村は、現代イスラム思想のなかで、クルア-ンに厳格に従うことを求めるイスラム原理主義者の立場を、より柔軟で現実的な対応を見せるモダニストの立場と対比し、後者がこれから果たすべき役割を高く評価した。ついで竹下は、アッラ-を愛の神とするクルア-ン中の記述に対する神秘主義哲学者の注釈を調べることによって、「愛」の思想の系譜をたどった。鎌田はアッラ-マ・ヒッリ-というシ-ア派の学者によるクルア-ン注釈をとりあげ、クルア-ン5章55節にシ-ア派的な再解釈がどのように施されたかを明らかにした。また東長はイブン・アタ-イッラ-という神秘家の著作をもとに、修行の際「アッラ-」という一語だけを唱えるのが許されることをクルア-ンを根拠として主張する見解を紹介した。 4.以上のように多様なクルア-ン解釈に関する研究発表がなされたが、一年間ではそれらを十分に統合的に理解するところまで到達しなかったので、今後は私的にイスラム思想研究会を設けてこの研究を続け、2〜3年後をめどにその成果を公表したいと考えている。
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