研究概要 |
パスカルにおいては、窮尽法は『デトンヴィル書簡』の最初の論文し求考論)に用いられていることに注目し、何故この方法が外ならない求考の問題に使用されたのかを問題にした。当時においては、求考の問題は面積や感情を積分する問題よりも難かしいとされていたこと、いかなる関係にあるかを問題とした。次に、パスカルの窮尽法が,アルキメデスやステヴィンの窮尽法とどのような関係にあるのかを明らかにして、パスカルの独自な操作がどんな意味をもっているのかを問題とした。 更に,必後の『デトンヴィル書簡』においては,パスカルはもっぱら不可合の方法を用い、窮尽法を使っておらず、しかも両方法を「語り方」におりえしか異ならないものとしている点に達目して,何故後が盾の異なる方法を同一視したのかを問題とした。彼がこうした能度をとらざるをえなかった根源を明らかにして,これによって彼の無限把握の独自な性格を明確にした。ただ、研究の過程で次のような難点に遭遇し、次年度においてはその解決をめざしたい。もともと、求長の問題を最初にセリあげた数学者たちは、ホイラ-テ、ホイヘンス、ニ-ル、ウォリス、レン,あるいはロベルヴァ-ルであり、彼らの解法はそれぞれに独自のものであるが、それでいて相互に無関係ではない。文献が十分に残っていないこともあって,これらの人々のそれぞれの独自性を確定することは大変に困難であった。彼らとパスカルとの関係、ならびにパスカルの独自性を明確にすることは,いっそう難しいことのように思われた。この困難をのりこえるためには,たんに求長の問題だけを問題するのではなくて,もっと広く積分一般の問題を視野におき,更に微分の問題との関係において求長の問題を考えることが必要であるように思われた。じじつ、求長の問題は、微分と積分とが交錯する領域であることがブルバキによって指摘されている。
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