研究課題/領域番号 |
03610049
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三浦 利章 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (00116104)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 高齢者 / 注意 / 周辺視 / 反応時間 / 視覚探索 / 視覚走査 / 視覚情報処理機構 |
研究概要 |
〔目的および経緯〕ごく最近高齢者の感覚・知覚・認知特性に対する学問的関心は高まってきているものの、視覚情報獲得・処理についての基礎的研究はきわめて少ないのが現状である。 ここに当研究は、視覚情報の獲得と注意機構に重要である周辺視機能について高齢者と若年者とを比較し、高齢者の情報獲得・処理特性についての基礎的知見を得ることを目的とした。 〔実験方法〕最大視角で半径40°の同心円上に実験1では光点、実験2では数字(2桁)を標的として提示し、これに対する検出および同定反応時間と眼球運動を測定した。被験者は高齢者2名(平均78歳)、若年者5名(平均24歳)であった。 〔主な結果〕:図参照 1.対象の検出反応時間には年令相差は示されなかった。 2.検出反応時間はいづれの年令相でも、周辺にいくにしたがって長くなる。 3.検出反応時間は高齢者の方がむしろ短いことが示された。これは、当実験での高齢被験者の実験事態への動機づけの高かったことに起因する。このことは潜在的な検出能力が備わっているが、高齢者ではそれを発揮することが少ないのが通常の生活での行動ではないかと思われる。ゆえに動機づけの方によっては、劣らぬ検出能力を発揮できるものと考えられる。4.対象の認知(同定)速度では、高齢者の方が遅いことが示された。特に周辺視野で顕著となる傾向がある。 5.この原因としては、出現対象の認知速度そのものが遅れるのか、対象への動作による対処(当実験では発声)が遅れるのかが考えられるが、この点は今後の研究に待たなければならない。 6.気づき、および認知の速さの方向特異性(異方性)には、年齢相による顕著な相違は示されなかった。しいて言えば、高齢者では上方対象への検出速度が遅れる傾向が若年者よりも顕著であった。7.検出、認知は、両年齢相において上下で左右よりも遅くなる。 ここに得られた結果は、高齢者の安全と注視技能の検討のための基礎的知見を提出するはずのものである。
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