熊本県における地域づくりの実態調査を県下一円にわたって行うとともに、九州大学や信州大学等の研究機関において、地域づくりに関する基礎資料の蒐集を行った。 今回の研究調査は、まず、小国町、泉村、久木野村、牛深市、蘇陽町など、地域づくりの先進市町村を中心に実態調査を実施した。それてそれらの資料をもとに地域づくりの“類型化"を行ったが、その座標軸として、タテ軸に「伝統的志向【.tatum.】近代的志向」、ヨコ軸に「行政主導【.tatum.】民間主導」を設定し、この組合せにより4つの領域を設け、最終的に次の5つの市町村を選定した。 (1)泉村(「伝統的志向・行政主導型」) (2)湯前町(「伝統的志向・民間主導型」) (3)久木野村(「近代的志向・行政主導型」) (4)水俣市(「近代的志向・民間主導型」) (5)小国町(「全方位型」) この5つの事例分析により、次の2点が明らかとなった。すなわち、(1)「行政」と「民間」との関連、そしていうまでもなく、(2)本研究の課題である「地域づくりにおける若者の役割」、この2点である。 まず、第一の「行政」と「民間」との問題でいえば、「行政」と「民間(住民)」の活動のバランスである。かみ砕いていえば、「行政」がいかにうまく「民間活力」を引き出すことができるか、これである。 第二の「若者の役割」については、平成2年から1年間にわたって実施された「地域づくり活動活性化計画」、および「熊本県地域づくり推進協議会」の設立によって、若者たちの「人的ネットワーク」が形成され、熊本県における若者たちにより「地域づくり」は、新たな段階へと進みつつある、ということができるのである。
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