研究概要 |
わたしは1989年9月20日に『ジンメルの世界ー空間・都市・文化』(文化書房博文社)を公刊した。これに増補して1991年6月10日に『新版 ジンメルの世界ー空間・都市・文化・歴史』(文化書房博文社)を公にした。とりわけ,後者はドイツの哲学者・社会学者ゲオルク・ジンメルの知られざる側面といってよい空間像,都市論,文化論および晩年の歴史像を解明した。本研究はこれを踏み台としている。 まず第一に重要なのは,日本におけるジンメル研究文献目録の作成である。ちなみに,ドイツでは1989年3月から『ゲオルク・ジンメル全集』全24巻(Georg Simmel・Gesamtausgabe,24Bd.,1989ー,Suhrkamp)が公刊され始めた。これまで3巻が公にされ,今世紀中に完結される由である。 この全集の編者はビ-レフェルト大学のオットハイン・ラムシュテット教授であり,教授とは面識があるので,1989年7月に「日本におけるジンメル研究(1975ー1988)文献目録」の作成を依頼された。その成果がドイツ文Bibliographie uber die SimmelーForschung in Japan(1975ー1988)。これの公表(1991)は待望されていたようである。 つぎに挙げるのはフランス文「ゲオルク・ジンメルにおける空間像」(L'image de l'esprit chez Georg Simmel)。これの公表は1991年。上述の拙著『ジンメルの世界ー空間・都市・文化』の一つの章の概要を訳出したもので,ここからは新たな知見が得られるとおもわれる。
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