本研究課題の中心は、鉱礦山への朝鮮人強制連行強制労働の解明である。しかし刊行連料は少なくかなり厖大な史料蒐集を必要とする。鉱山は、住友鴻之舞鉱山の文献原史料蒐集・分析を基本的に終り4本の論文にまとめた。炭礦は北炭万字炭礦・日曹天塩炭礦・三菱夕張炭礦等の史料蒐集は本補助金によって始めた。蒐集原史料が厖大なためマイクロフィルムカメラ購入により行うことにしていたが、製造元亊情で4カ月納入遅れとなり、本研究者の日程調整の都合もあり、撮影は11月開始となった。 本研究の基礎は、連行人数の明確化である。しかし整備された名簿は、ほとんど残存していない。上記炭礦中万字炭礦の鉱夫名簿が、未整理のまま1万数千人分保存されている。これを約80%撮影終った段階で本年度本補助金を費消し切った。残鉱夫名簿をはじめ撮影予定原史料の4分の3が未撮影である。 撮影史料の基礎整理を同時進行させ(約2割完了)、これを2次、3次整理を行い、人数・出身地・年令・前職・来山年月日・退山年月日・退山理由・死亡・逃亡等の数量的分析を行い、論文にまとめる。現在までに基礎整理したものから、亊業場によって強制連行強制労働の実態に相違がみられることが判明しつつある。例えば、鴻之舞鉱山は目標人数を達成するまで連行していないが、炭礦では一定人数集まると逐次連行しており、前者は稼働後あまり職種変更を行っていないが、後者は度々行っており、契約期間延長は後者が厳しく強制しているといったことである。 次年度研究費調達目途がつき次第、残りの原史料撮影を行い、募集方法、連行実態、労働実態等を分析、論文にまとめる。
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