研究課題/領域番号 |
03610196
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
関内 隆 岩手大学, 教育学部, 助教授 (50125473)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 急進的保守主義 / 関税改革 / 人民予算 / ホブスン / エドワ-ド期イギリス / イギリス1910年総選挙 / 「二つのイギリス」 |
研究概要 |
本研究の課題として設定されたのは次の二点である。(1)エドワード期におけるイギリス社会経済構造の特質がいかなる実態をもっていたか。この点を諸階層の編成形態等の社会構造に関する同時代人の現状認識を中心に関係資料を用いて解明する。(2)当該期をヴィクトリア朝の経済的繁栄から現代イギリスの「経済的衰退」への転換期として位置付け、状況認識と政策的志向の具体的内容、そこに現れた矛盾の諸相を明らかにする。 エドワード期の雑誌、著書に掲載された社会経済構造に関する資料を検討する中で、そこに、相対立する二つの状況認識と政策的な志向が存在することを確認した。一方は「新保守主義的」な分析であり、社会構造の有機体的な把握のもとに、関税改革をもって社会再編成をしようとする「急進的保守主義者」ならびに「イギリス歴史学派」の議論であり、他方は、社会構造における根本的対立として、地主的・金融商業的諸利害と熟練労働者や工業ミドルクラスとの経済的対立を見て、後者の政治的主導による社会改革を志向する「新自由主義者」の議論である。こうした対立は、貿易問題をめぐるアシュリーとホブスンの議論の中に端的に見て取れる。 ところが、この二つの政策的路線は、それぞれの矛盾を抱えていた。関税改革は、「工業国家」としてのイギリス(帝国)を再建する策として提唱されたが、財政問題が展開する中で、それは「工業国家」諸利害に対立する「金融国家」諸利害に奉仕する政策として現れたのである。また、社会改革は自由党政府のもとで実施されたが、その財政的な基盤を「人民予算」として確保する中で、自らの政治基盤を狭めて行った。同時に、新自由主義の現状認識には、ホブスンの自由貿易論に現れているように、国内社会情勢把握とイギリスの対外的な地位に関する認識とが接合されていない、という隘路が存在していたのである。
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