研究概要 |
「朝」,「午前」,「午後」,「夕方」,「昼」,「夜」といった日本語の表現を,中世フランス語ではどのように表現しているかを調査し,その語彙および表現を通して,中世フランス人の「時間」に対する認識の仕方を探ろうとした。 まず資料として,平成3年度は,時間表現がひじょうに豊富に見られる,G Pierre WILLIAMS(ed),Renaut de Beaujeu,LeBel Inconnu(Champion,″Classigues Francais do Moyena ge″)1967をとり上げ,次いで平成4年度には下記には下記の3作品を追加した。 Jean FRAPPIER(ed),La Mot leroi Artu(Dron″Textes Litteraires Francais″58),1964Peter F,DEMBOWSKI(ed),Ami et Amile(Chanpin ″Classgues Francais du Mojen Age″97)1969Albert PAUPHILET(ed),La Queste dil Saint Graod.(Chanpion ″Classigues Francsis du Mojen Age″337 1923 これらの作品に見られる,時間に関する語彙および表現をできるだけ綱羅的にリスト・アップし,それらをカード化した。そしてこれらのカードを(1)時点を表わすもの,(2)期間(ある一定の長さの時間)を表わすもの,(3)その他に分類し,さらにそれらを(a)一年,一月,一週,に関するもの(b)一日に関するもの,(c)その他,に下位分類した。こうして収集・分類された用例をもとに,中世フランス人の時間のとらえ方と,その表現に関する分折・研究の基礎資料とした。その中で,一日のリズムに関する語彙および表現を詳細に検討した結果,明け方から夜中まで,実に多様な表現が見られ,中世フランス人の一日の時間の変化,とくに太陽の運行および明かるさの変化に対するとらえ方の繊細さの一端がうかがえた。
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