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ナチズムとドイツ民俗学

研究課題

研究課題/領域番号 03610250
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 独語・独文学
研究機関愛知大学

研究代表者

河野 眞  愛知大学, 教養部, 教授 (20113053)

研究期間 (年度) 1991 – 1992
研究課題ステータス 完了 (1992年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
キーワードフォルク / ゲルマン性の連続 / 農耕ロマンティク / 沈降せる文化物象 / 象徴研究 / 儀式論者と神話論者 / ウィーン学派 / 言語島民俗学 / ウィ-ン学派
研究概要

研究成果のまとまった発表には、もう少し時間がかかりますが、大略、次のような知見を得、またそれをいくつかの解説に活用しました。
(1) ドイツの民俗学がナチズムとの相乗という過誤のために、第2次大戦後は学問としての存続が危うくなり、それを克服して今日の隆盛を築いたことは一般に指摘されているところですが、これをめぐっても、評価の違いがみられます。
(2) 特に、ナチズム民俗学の本質をめぐる評価。ひとつは、ナチズムとの合流は、19世紀以来の民俗学の展開の必然的な結果であり、またそれはドイツにとどまらず、イギリスのフレイザーをも含めた汎ヨーロッパ的な世界観のひとつの帰結であるとの見解。もうひとつは、ナチズム民俗学は、体系学なものではなく、未熟な思念の寄せ集めで、異常な歴史的状況なかで、不自然な結合力がはたらいて形成されたという見解。
(3) この見方の相違は、第二次大戦後の民俗学の再建における異なった潮流の成立とも重なってゆきます。
(4) 現代のドイツの民俗学の成立にあたって、ナチズム民俗学への反省が大きな原動力になったこと。特に、ナチ時代のドイツが現実には高度な工業国家であったにもかかわらず、農民存在にドイツ人の原像を見るというイデオロギーが支配的であったという現実と自己理解との乖離への反省から、工業社会、さらに現代の〈豊かな社会〉の解明という現代民俗学が発達し、またこれが現代の主流にもなっています。
(5) ドイツの民俗研究が露呈した諸々の問題点は、日本の民俗学とも重なります。しかし日本では、学問史の総点検を迫られるほどの深刻な反省の契機がなかったところから、ドイツにおけるような方向転換がなされず、現代では両国の民俗学は著しく相違しています。

報告書

(2件)
  • 1992 実績報告書
  • 1991 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 河野 眞: "ナチズムとドイツ民俗学" 文学論叢(愛知大学文学会). 104. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] レーオポルト・シュミット著 河野 眞 訳・解説: "オーストリア民俗学の歴史(うち、P.390〜411がナチズム民俗学を中心とした解説)" 名著出版, 435 (1992)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] ヘルマン・バウジンガー著 河野 眞 訳・解説: "技術世界のなかの民俗文化(うち、約30頁にわたってナチズム民俗学の克服過程を中心にした学史解説)" 法政大学出版局, 300 (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書
  • [文献書誌] 河野 眞: "ナチズムとドイツ民俗学" 愛知大学文学会「文学論叢」. 103. (1993)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 河野 眞訳・解説: "レ-オポルト・シュミット著(1951)オ-ストリア民俗学の歴史 (25頁の解説を執筆)" 名著出版, 440 (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書
  • [文献書誌] 河野 眞訳・解説: "ヘルマン・バウジンガ-著 技術世界のなかの民俗文化(1961,第2版1985)(25頁程度の解説)" 法政大学出版局, (1992)

    • 関連する報告書
      1991 実績報告書

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公開日: 1991-04-01   更新日: 2016-04-21  

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