研究概要 |
1. メイリング・リストおよびダイレクト・メイルの意義を明らかにし、それらが、いかなる情報源から収集され、いかなる目的に利用されているか、検討してみた。 2. リストの作成またはDMの郵送について、情報主体は、現行法上,有効な法的方段を与えられていない。もっとも業界が自主制制している例は散見される。 3. リスト作成,DMの郵送が,プライヴァシ-権を侵害する不法行為となるか。 (1)そもそも,情報主体の氏名・住所・電話番号等は,他人に知られたくない情報ではない,とするのがアメリカの判例・学説の立場である (2)プライヴァシ-侵害を、「私事への侵入」、「私生活上の事実の公表」、「個人識別項目の無断利用」に分けて考えた場合であっても、アメリカの判例・学説は、異例な事態に至っていないかぎり、いずれのタイプにも該当しない,としている。 4. リスト作成,DMの郵送を新たに法律によって規制しようとする場合には,憲法上の営業の自由、表現の自由との抵触問題が発生しよう。情報主体の個人情報保護と,これらの自由とを調整するには,非常に徴妙な利益衡量が必要となる。
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