研究課題/領域番号 |
03620019
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
岡本 詔治 島根大学, 法文学部, 教授 (60108777)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 土地所有権 / 建築権 / イタリア都市計画法 / イタリア都市計画立法 / 都市的土地所有権 / イタリア土地所有権 / 都市計画規制 / 建築所有権 |
研究概要 |
本研究は、イタリアの都市的土地所有権が都市計画・建築規制によってどの程度まで制限されているのかを検討し、日本法における都市的土地所有権のあり方を考える際の視点を得ようとするものである。 イタリアの1942年都市計画法はゾーン制や市街地での建築規制(建築許可)などを導入して私的所有権に種々の制限を課したが、同法は現実にはあまり機能せず、戦後の経剤成長の過程で、かえって市街地の乱開発、自然環境の破壊という結果を招来した。 そこで、1967年改正法(暫定法)は、本格的な計画的介入を断行し、ゾーン制の徹底化、建築容量等の建築基準(スタンダード)の法定化のほか、市町村全域に建築許可制度を拡張した。これによって、都市的土地所有権が重要な制限をうけることになったが、さらに1977年改正法は67年法の改革を定着させるとともに、私人の開発・建築行為を強制的に期限付で(3年以上5年以下)段階的に推進するという実行手法を採用した。 このように、良好な居住環境を確保するため、伝統的な所有権観念はその変容を余儀なくされ、都市的土地所有権の本質である建築権は公的介入によって重大な制限を課されることとなった。 これに対して、日本法では伝統的所有観念が温存され、公的規制は例外的なものと考えられた。そのため国土の「開発」が優先し、市街地の乱開発が招来された。ごく最近、土地基本法が制定され、これを承けて、1992年に都市計画法・建築基準法が改正され、重要な改革が導入されたが、良好な居住環境を回復するためには解決すべき課題が残されている。将来の改革においては、わが国の実情と共通項をもつイタリアの経験から学ぶべきものが少なくないように思われる。
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