研究概要 |
多変量解析、多次元解析において、T_1,T_2,ーーー,T_mを既知の相関をもつm個の確率変数とするとき、最大値Tmax=max{T_1,ーーー,Tm}といった形の統計量が現われるが,その正確な分布の導出は極めて困難である。そこで多くの場合は,Tmaxの分布の近似分布を導出する方向に行くことになる。本研究でもその線に沿い,仮統検定,区間推定等の統計的推測を実行可能にするため,Tmaxの分布における上方%点を実用上十分な精度をもって評価する方法を開発,確立することを目的としたわけである。 本研究の具体的な成果としては,まず応用に現われたTmax型の統計量をその背景とともに整理することから始めて,Tmax型およびその修正型の応用としてそれぞれ多次元離囲,Controlとその比較統計量を取り扱うことができるようになったことをあげられる。つぎに,多変量解析の理論面ではよく正規分布の基礎におくことが多いわけであるが,その正規性の検討のために楕円型母集団からの標本論を準備できたことである。また,個々の統計量に上方%点の近似法,近似公式の精度,パラメ-タの有効離囲はMonte Carlo数値実験を通して検討を行い,十分使用に耐え得ることが分った。 さらに,研究を進めて行く過程で,(1)一般化線形モデルにおける推定とくに適合度の良さの検定法,random coefficientsの推定法,(2)競合リスクが存在する場合の生存モデルの設定とその推定,(3)逆三項分布,2変量混合対数正規分布の定義,等の成果を得ることができ,標記研究課題と関連させて更に理論の発展を見る下地ができた。今後,新しい研究計画のもとに研究を進めて行く予定である。
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