研究概要 |
第1に,統一後のドイツの財政・租税制度がどうなるかという点である。これはさしあたり,三つの局面に分けられる。ひとつは,ドイツ統合は制度面からみれば東ドイツの5州が西ドイツ11州からなる連邦共和国に加入する形をとったので,西ドイツの財政・租税制度が東ドイツに拡大して適用されるという局面である。西ドイツの財政・租税制度はドイツ特有の連邦主義の国家構造を支えるものであることが明らかにされた。ふたつめの局面は,それにもかかわらず,1990年8月31日の第2国家条約(統一条約)において東ドイツの5州に対して各種の例外措置が認められたことである。州相互間の水平均財政調整への不参加等がその例である。これらの例外措置は1994年をもって廃止されることになっている。三つ目の局面は,1991予算年度からどのような手直しが財政・租税面からおこなわれたかということである。これは現在進行中であるから今後も追う必要がある。 第2に,地方財政・地方税制の次元でドイツ統合はいかに進行しているかを分析する点である。地方税制が安定し,これに支えられて地方財政(具体的には,毎年度の予算循環)が順調に経過するようになった時,東西ドイツ統合に伴う財政・租税問題が絡結する。なぜなら,財政の資源配分に係わる機能は,地方財政において主として実行されているからである。この見地から,東西ドイツの市町村を対比した財政構造と各種の財政指標の推移が分析された。さらに,地方税の基幹である営業税の改革の進行状況がサーウェイされた。
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