いわゆるベリ-位相が生み出されるメカニズムは、ベクトルバンドルの標準接続の理論によって記述できる。すなわち、底空間とベクトル空間との直積空間と、そのベクトル空間における射影作用素の族を、底空間パラメ-タ-空間として与えると、底空間上のベクトル値関数の微分と射影作用素との結合で共変微分作用素が、したがって、ベリ-の接続が定義される。ベリ-の接続は、それ故、ベクトル空間と射影作用素の族を物理的意味により、パラメ-タ-に依存するハミルトン作用素から指定することで定義できる。その興味ある実例として、2次元複素射影空間上の複素ベクトルバンドルにおいて、あるヤン・ミルズ接続をベリ-接続の理論を用いて、以下のように構成した。まず、3×3エルミ-ト行列で、その固有値のうち2つが縮重しているようなものの全体を考える。このような行列の族は、2次元複素射影空間をパラメ-タ-空間にもつ。ここで、縮重した固有値に付随する固有空間への射影作用素の族をとり、この族と複素射影空間との組から、複素射影空間上の複素ベクトルバンドルが構成できる。構造群は2次のユニタリ-群U(2)である。これが特殊ユニタリ-群SU(2)に簡約化されないことが重要な意味を持ってくる。このベクトルバンドルに定義されるベリ-接続はヤン・ミルズ接続であることが示せる。構造群がSU(2)に簡約されないことの帰結として、この接続は自己双対でも反自己双対でもないことが分かる。チャ-ン類数や作用積分も実際に計算した。 接続の微分幾何学の応用として、一様磁場中の2次元多体系の内部運動についても考察した。一様磁場が内部ハミルトニアンに与える効果について具体的記述が得られた。
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