研究概要 |
強π正則環のクラスは,強正則環や周期環を含む.また,周期環のクラスは,有限環やその一般化である局所有限環を含む.これらの環の構造を研究し,以下の結果を得た. 1.強π正則環で自明な無限部分環を持たないものは,強正則環と有限環の部分直和になることを示した.また,自明な無限部分環を持たない周期環が丁寧と有限環の部分直和になることを示した.この結果からδ環が可換環と有限環の部分直和になることがわかる.これによって,PutchaーYaqubの予想が背定的に解決されたことになる. 2.自己入射的強π正則環のJacobson根基による剰余環は,強正則環上の全行列環の有限直和になることを示した.更に,この結果は,連続強π正則環に対しても成立つことを示した.また,系として,連続強π正則環がstable range 1を持つことを示した. 3.周期環の任意の元は,ベき零元とpotent元の和で表される・しかし,逆に,このような性質を持つ環が周期環になるかどうかは知られていない.多項式関係を持つ環に対して,このことが正しいことを示した.より一般に,任意の元が2つの周期的元の和として表されるような多項式関係を持つ環は周期環になることを示した.また,多項式関係を持つ周期環が局所有限環になるための必要十分条件を与えた. 4.有限環は,環として直既約な環の直和に分解する.根基が0である直既約有限環は,有根体上の全行列環になる.従って,有限環の構造の研究は,根基が0でない直既約環の研究に帰着される.0でない根基を持つ有限直既約環の位数を,その根基の位数を用いて評価した。その結果,与えられた有限べき零環を根基に持つ直既約有限環が同型を度外視して,有限個しかないことを示した.また,直既約有限環Rの単数群の位数とRの位数の比率を,Rの根基の位数を用いて評価した.
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