研究概要 |
確率測度空間上の非特異な変換の流れ{Tt}のエルゴ-ド的性質について、以下のような研究をした。{Ut}は流れ{Tt}から自然に定義される可積分関数全体L_1空間上の作用素群とする。可積分関数fに対して、最大関数f^*とMfを次のように定義する: f^*=sup_<b>0>∫^b_0U_tfdt/∫^b_0U_t1dt, Mf=max{f^*,(-f)^*}. さらに、fによって定まる量H(f)を定義する: H(f)=∫^1_001/t|∫^t_<-t>f(s)ds|dt, 但し、fは区間[0,1)上の減少を関数で、fと同分布をもつものを周期的に実数直線上に拡張した関数を表す。この研究では、流れ{Tt}を保存的かつエルゴ-ド的と仮定して、以下次の結果を得た。 1.定数αが不等式α>E〔f〕を満たすならば、極大等式 αP{f^*>α}=E〔f・X{f^*>α}〕が成立する。 2.一般の非負可測関数fに対して、E〔f(log^+f)^<√+1>〕<∞である必要十分な条件は、E〔f^*(log^+f^*)^√〕<∞である。ここで√は任意の非負定数を表す。 3.次の不等式を満足する絶対定数C>0が存在する: E〔M(f´)〕≦C{H(f)+E〔|f|〕},但し、fは任意の可積分関数を表し、f´はfによって定まる可積分関数で、その分布はfと同一であるような、ある適当な関数を表す。 流れ{Tt}を非負半直線上に制限した準流れ{Tt,t≧0}に置き換えた場合、同様な結果が成立するかどうかは、興味ある問題であるが現在のところ未解決である。
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