研究概要 |
プラト一問題の自然な拡張として,与えられたジョルダン曲線を張る,平均曲率一定な曲面の方程式がある.これに対する解の存在,特にラ-ジ解と呼ばれる不安定な解の存在証明でStruweにより用いられた,単位円板の等角写像に対する正規化条件について,ある結果を得ることができた. この種の条件としては,三点条件が知られているが,ある理由によりうまく働かないことが分かっている.Struweの用いた条件は,単位円板の等角写像のなすリ-群を考え,その接空間を用いて与えられる.この条件を,境界条件の自由度から定まる,ある周期関数fを境界条件とする,単位円板でのDirichlet問題の解Fに対する条件で表すことができた.FおよびFの偏導関数が,単位円板内のある点で満たすべき条件として,正規化する等角写像のパラメ-タを完全に決定することができる。この点で,もとの条件より具体性があり,これからの発展が期待できると思われる. また,この条件を満たす単位円板内の点の存在,一意性そのものも,古典的な2次元Dirichlet問題に,新たな問題を与えるもであり,微分方程式の立場から興味ある問題であると思われる.この条件を解析することは,平均曲率一定の曲面の問題からは離れるが,今後の考えるべき問題に加えていきたい.
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