研究概要 |
XをBanach空間とし,B[X]はXからそれ自身への有界線形作用素の全体のなすBanach環を表し,Ζは整数全体の集合を表す。{Pj}j∈ΖはB[X]の中の射影作用素の列で次の3つの条件を満たすとする:(i)PjPm=∫jmPm∀j,m∈Ζ,ここで∫jmはKroneckerのデルタ関数を表す。(ii)すべてのj∈Ζに対してPj(f)=0ならばf=0。(iii)span{Pj(X);j∈Ζ}はXで稠密である。T∈B[X]に対して,スカラ-列{tj}j∈Ζが存在して,すべてのf∈X,j∈Ζに対してPj(T(f))=CjPj(f)であるとき,TをX上のマルチプライヤ-作用素といい,T〜Σ^∞_<j=ー∞>JjPjと書く。{Tt;t∈R}(R=(ー∞,∞))をTt〜Σ^∞_<j=ー∞>exp(λjt)PjとなるX上の一様有界な族とする。このとき{Tt;t∈R}は強連続な作用素群になる。R上で周期2πをもつルベ-グ可積分関数RとX上のマルチプライヤ-作用素T〜Σ^∞_<j=ー∞>CjPjに対して,合成積作用素R*Tを(R*T)(f)=1/(2π)∫^π_<ーπ>R(t)Tt(T(f))dt(f∈X)によって定義する。このとき,R*T〜Σ^∞_<j=ー∞>Cj(R)CjPjが成立する。ここで,Cj(R)=1/(2π)∫^π_<ーπ>R(t)exp(λjt)dt。Y∈N。=NU{0},N={1,2,3,…},f∈X,∫【greater than or equal】0に対して,ωr(X;f,S)=sup{||Δ^r_t(f)||;|t|【less than or equal】∫}は{Tt}に関するfのr次連続率といわれる。ここで,Δ^r_t(f)=(TtーI)^r。T_<α,λ>=R_<,λ>*T(∂∈D,λ∈∧),ここでDは有向集合,∧は添下集合とする。この近似法の収束精度について次の不等式が成立する: sup{||T_<,λ>(f)ーT(f)||;λ∈∧}【less than or equal】||T(f)||X_α+inf{(Y_α+Mmin{ε^<ーr>,ε^<ー1>y^<1ーyr>_α})ω_1(X;T(f),εZ_<α,r>);ε>0,r【greater than or equal】1}。ここで,X_α=sup{|1/(2π)∫^π_<ーπ>R_<α,λ>(f)dtー1|;λ∈∧},y_α=sup{1/(2π)∫^π_<ーπ>|R_<∂,λ>(t)|dt;λ∈∧},Z_<α,r>=sup{(2/(2π)∫^π_<ーπ>|t|^r|R_<α,λ>(t)|dt)^<1/r>;λ∈∧}。各f∈X,n∈Nに対して,直和【symmetry】^n_<j=-n>Pj(X)に関するfの最良近似度をEn(f)とするとき,ある付帯条件の下でJackson型の評価式En(f)【less than or equal】MCrωr(X;f,1/n)が成立する。ここで,M=sup{||Tt||;t←R},Crはrのみに依存する正の定数である。これらの結果は斉次Banach空間の場合へ応用される。
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