研究分担者 |
岩瀬 順一 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70183746)
田村 博志 金沢大学, 理学部, 講師 (80188440)
松村 昭孝 金沢大学, 理学部, 助教授 (60115938)
児玉 秋雄 金沢大学, 理学部, 助教授 (20111320)
林田 和也 金沢大学, 理学部, 教授 (70023588)
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研究概要 |
確率解析の理論の整備とその応用,ならびにマルコフ過程および関連する諸分野に関しての以下の研究成果を得た。 1.ディリクレ空間の理論に基づくマルコフ過程の加法的汎関数に対する確率解析の理論を整論し,この理論とファインマン-カッツ公式を用いることにより,対称マルコフ過程の時間変更の理論を確立した。一般的な条件の下で,時間変更により定まるマルコフ過程に対応するディリクレ空間の構造を決定し,またその証明は時間変更の仕組みを明確に表現している。 2.一般に拡散過程にあらわれる線型放物型方程式では逆向きの初期値問題は非適切であるが,より長い時間内で解の量を抑えた範囲内で適切である。∂_tU=△U^m(m>1)の解について適切であることを示した。 3.確率論的に非平衡力学極限としてとらえられる粘性流体の方程式系の3次元球対称解について,等温モデルであれば任意のポテンシャル外力と初期値に対し,解は対応する定常解へ漸近することを示した。また大学院生と共同で,他の球対称モデルに結果を拡張するとともに,解の計算機シミュレ-ション用ソフトを開発した。 4.4次元空間上のユ-クリッド不変な確率場をベクトルポテンシャルとしてもつシュレディンガ-型ハミルトニアンのレゾルベント核を調べた。そしてその確率場に対応する静止ポテンシャルが非有界な場合に,レゾルベント核の期待値が指数関数より速く減衰することが得られた。 5.n次元複素空間内の有界凝凸領域上の拡散過程の研究と関連して,この領域の正則自己同型群を調べた。正則同型群がコンパクトでない有界領域の複素解析的構造について結果を得た。
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