研究概要 |
近年,場の量子論の数理物理学において,ウィッテンやジャフィ-らは超対称的場の理論の研究を提唱し,ル-プ空間に働くデラック作用素の指数の重要性を強調している.さらに,ウィッテンはファインマン積分と呼ばれる汎関数積分をりようして基礎になる多様体の不変量を求めている.このことは,本質的には無限次元解析を必要とするもので,我々は最高,急速に整理が進んだ無限次元の確立解析の手法を通してこれらの研究への寄与を試みた.本研究代表者は無限次元の多様体論・無限変数の偏微分方程式論(なかでもn点相関関数のみたすシュヴィンガ-の方程式)などへの接近の糸口をつかむべく北大の新井氏と共同でジャッフィ-とその仲間が行った超ル-プ空間上の微分形式のなすドラムの複体を求め,その上に働く超対称的ラプラシアンに対してドラム・ホッヂ・小平の分解定理を得た.また,このことは無限次元の超関数の基礎空間の研究と密接の関連している.これを土台にして,新しい無限次元空間上の超関数の基礎空間を提唱し,それらの核型性について研究した.さらに研究代表者は米国ノ-スキャロライナ大学のカリアンプ-ル教授と共同で無限個の相互作用のある神経系の極限として現れる無限変数の微分方程式を解いた.そののち現在無限次元のコホモロジ-論の研究を進行させている.
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