研究課題/領域番号 |
03640272
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 圭二 大阪大学, 理学部, 教授 (10011545)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1992年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | ゲージ対称性の発生 / Berry位相 / 運動エネルギー項の誘発 / Kaluza-Klein機構 / ソレノイド・ポテンシャル / 2次元宇宙模型 / 臨界次元の絃 / 非臨界次元の絃 / 非臨界次元の弦 / ゲージ対称性の誘発 / 時空のコンパクト化 / 時空の位相構造 / GUTエネルギー / インスタントン / EguchiーHanson解 / Induced Gauge Theory / BornーOppenheimer法 / コンパクト化 |
研究概要 |
過去3年にわたって、量子宇宙における相転移とゲージ対称性の起源を追求する目的で始めた本研究は、後者の問題に関して物理的および数学的な基本問題を解決することができたこと(以下の項目1)、前者に関しては2次元宇宙模型に於てではあるが4次元問題にも共通して現れると考えられる極めて興味深い結果が得られた(項目2)。 1.素粒子の相互作用のゲージ対称性は、一般には理論構成の原理として最初に仮定されるもので、高エネルギーではその全対称性が観測されるが、低エネルギーでは対称性の自発的破れによって、より低い対称性が観測されるのが一般である。 しかしこの研究では、逆に高エネルギー領域の対称性よりも低エネルギーの対称性が高くなる例があることを発見し、そのゲージ対称性の発生機構を解明した。それはBerry位相機構で、従来はこの機構ではゲージ場の運動エネルギー項が生成されないとされていた。ここでは、その運動エネルギー項の誘発機構を例示し一般の条件を示した。具体的には、6次元時空におけるU(1)ゲージ理論がKaluza-Klein機構によって4次元時空と2次元のgenusがgのRiemann面の積にコンパクト化した場合、4次元空間におけるゲージ対称性はU(1)のg個の直積になる。これはKaluza-Klein機構とは別のもので、運動エネルギー項はRiemann面のソレノイド・ポテンシャルの自由度が転化する。 この新機構は他の位相的に単純でない空間にも適用できるので、現在の標準理論の持つゲージ対称性が全てこの機構で誘発されている可能性も考えられ、今後の研究に大きな示唆を得ることができた。 2.一方絃理論に関しては、従来非臨界次元の絃理論が2次元の量子宇宙論の模型として研究されていたのに対して、ここでは臨界次元の絃模型を2次元量子宇宙模型として解釈することで、宇宙の生成消滅や分離された一つの宇宙の持つ自由度などを求めた。とくに、1つの宇宙に棲む知的生物が観測し得る物理量を特定した点は重要な成果である。 3.量子宇宙に関しては、3次元のChern-Simons重力理論において、トーラス、de Sitter及びanti-de Sitter宇宙解の古典的及び量子論的発展問題を論じた。
|