研究課題/領域番号 |
03640307
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松波 紀明 名古屋大学, 工学部, 助教授 (70109304)
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研究分担者 |
井上 雅彦 名古屋大学, 工学部, 助手 (60191889)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | イオンエネルギー損失分析 / 高分解能 / 薄膜 / 電子励起 / プラズモン / 電子励起平均自由行程 / クラスターイオン効果 / イオンエネルギ-損失分析 |
研究概要 |
現有の固体表面解析用イオン散乱装置を改良し、透過型エネルギー損失分析(分解能20ー60eV)を可能にした。この装置を用い、厚さ7-20nmの炭素薄膜を透過した1OOkV領域イオンのエネルギー損失分布を測定することにより、イオンによる集団電子素励起に関する研究を行い、以下の結果を得た。 (1)100keV領域のH^+、He^+イオンエネルギー損失分布のなかに単一の集団電子素励起に対応するピークは見られなかった。約200eVに新エネルギー損失ピークが見つかったが、起源についてはまだわかっていない。 (2)イオンエネルギー損失分布においてゼロエネルギー損失ピークの強度から、100keVのH^+、He^+イオンの電子励起平均自由行程として各々1.2,1.4nmを得た。同速度の電子の電子励起平均自由行程と同程度であるが、100keVのH^+の場合約2倍大きい。 (3)イオン照射による炭素結合変化に対応するエネルギー損失分布のピーク値増加を見つけた。この増加は約20%であり、理論値、その他の実験値とほぼ同じである。また、この増加は電子励起阻止能に比例することがわっかた。 (4)100keVH_2^+イオンのエネルギー損失分布のピーク値は50keVH^+イオンエネルギー損失ピーク値からのボルン近似による推定値に近く、分子イオン効果は見られなかった。さらに、厚さ17nmの試料に対して100keVH_2^+イオンの生残り確率として6x10^<-3>をを得た。 以上、イオンエネルギー損失分析法の有効性が示され、今後の実験からイオンによる電子素励起の微細構造に関する知見が得られると思われる。
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