研究概要 |
六方BaTio_3、層状ペロブスカイト型強誘電体Sr_2Nb_2O_7La_2Ti_2O_7の単結晶を浮遊ゾーン法で育成した。これらの結晶の強誘電性相転移の性質を誘電率測定とラマン散乱によるソフトモードの測定から調べた。 ひきつづいて、六方BaTio_3にEu^<3+>を導入し、Eu^<3+>のフォトルミネッセンスを測定した。励起光としては、單色性の良い強い光が得られる色素レーザーを用いた。 ^5D_0→^7F_2発光は結晶場の反転〓性の無い場合に生じるが、613.0nmnm622.0nmの発光スペクトルは74K以下の強誘電相で現われ、このサイトの強誘電性相転移との関連を議論することができた。この発光スペクトルの時間変化を調べると、早い立ち上がりと、時定数280MSの指数関数的な減衰を示した。更にこのスペクトルの0-2励起スペクトルは440nm〜470nmの巾の広いものであった。イオン半径からEu^<3+>はBa^<2+>と置換すると考えられるが、電荷補償からEu^<3+>近俣のTi^<4+>がTi^<3+>となると推定される。Ti^<3+>は440nm〜470nmの吸収が存在するので光照射により、このTi^<3+>が励起状態となり、エネルギー、トランスファでEu^<3+>の励起が生ずると考えると得られた実験結果を説明することができる。 一方、610.5nm,611nmの励起スペクトルは462.7nm、462.4nmの鋭いものであった。これらのカインは74K以上の中間担でも低温担と同じ程度の強さで観測された。これらのラインは反転対称性を室温担でも持たないサイト1からの発光と推定した。 以上の結果は、日本物理学会のこの春のシンポジウム他、この8月に開かれる強誘電体国際会議で発表される。
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