研究課題/領域番号 |
03640329
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
夏目 雄平 千葉大学, 理学部, 教授 (80114312)
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研究分担者 |
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 助手 (70189075)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1991年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 量子反強磁性 / 正方格子 / 量子ゆらぎ / フリップ・フロップ数 / RVB / ハイゼンベルク型交換相互作用 / 量子スピン系 / 基底状態 |
研究概要 |
1.対象としている正方格子量子Heisenberg反強磁性体について、有限スピン数の系を用いて基底状態厳密解の拡張RVB描像による構築方法の理論的基礎付けを行った。さらにそれに基づいて、singlet pair配置パタ-ンを解析して、基底状態を求めた。計算は膨大であるが、計算機によるパタ-ンの認識の技法を積極的に用いて求めた。その結果は単行本の一部にまとめられ、また、物性若手夏の学校でも講演した。 2.さらに、基底状態における量子的ゆらぎの性格を理解するため新しい概念としてIsing的な基底に対して最短flipーflop数という量を提案・導入した。これは、その基底が、古典的反強磁性秩序を持つNeel状態から最低何回の量子的flipーflopで到達できるかを示している。これらは、従来、論じられてきたのstaggered磁化のような全体を平均化したエネルギ-的な量に比べて、量子的なゆらぎを直接反映させた新しいものである。 3.上記の全結果を、統一的に解析し、Nが大きな系における基底状態の性質を、拡張型RVB描像の立場から検討した。これによって、古典的スピン描像に基づく反強磁的性秩序状態(即ちNeel状態)と、量子的な揺らぎの支配が本質的な量子スピン液体的状態との競合の様子が具体的に議論できるようになった。特に、従来の理論では無視されることが多かった、遠く離えた格子間のsinglet pairの寄与についても定量的に解析することが可能になった。この結果は、速報(Letter)として専門誌に掲載されることになっている。 4.さらにこのような量子性の極めて強い反強磁性系におけるスピン系による光のラマン散乱についての理論を修正スピン波の方法を用いて作った。さらに、それに基づき、光学スペクトルを具体的に計算し、光学スペクトルへ量子ゆらぎの効果を論じた。この結果は論文として専門誌に公表された。
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