研究概要 |
非線形非平衝系で起こる新現象の探索と,それを記述する一般法測を確立することを研究の最終目的としている。実験でよく研究されている系はレイリ-ベ-ナルド熱対流系である。しかし多くの問題点もある。我々が注目している実験系は低温でタコニス振動と呼ばれる熱音響振動の一種である。急激な温度勾配をもつ細管内の気柱自励振動系で実験的に多くの利点を有する。本研究においては主として以下の二点の問題について実験を行い,成果を得ることができた。 1.自励振動子のモ-ド競合によって準周期運動からカオスへの転移を観測すると共にそのル-トを明らかにした。 2.自励振動子を外から力学的に周期外力をおよぼし,任意の周波数比および非線形性の強さで準周期運動からカオスへの転移の観測と転移点近傍で成立する様々な普遍性について実験的に明らかにした。 研究成果および実績 前者については不安定モ-ドの安定中立曲線の重なり合った場合で,2〜3の複数モ-ドが非線形相互作用を通してカオスになることを実験的に示し,そのル-トは2周期運動からカオスと3周期準周期運動からカオスの2つル-トが存在することを実験的に明らかにすると共に,決定論的カオスの実証を行った。後者については準周期からカオス臨界点で成立する。局所的および大域的な普遍性について実験的に示した。周波数の比は黄金平均に調整し,スペクトルの自己相似性(およびリアプノフ数のゆらぎ自身およびそのスペクトル)および特異点スペクトルの実験結果と一次元写像モデルの普遍性の結果が比較された。非常に雑種な系と信じられてきた熱音響系が一次元写像モデルと同じ普遍的クラスに属することが実証された。以上の結果は米国物理会誌(Phy.RevA)に2遍および京都大数理研究所の講究録で出版される予定である。
|