研究課題/領域番号 |
03640348
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 眞 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (30144398)
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研究分担者 |
倉門 雅彦 新日本鉄株式会社, 第一技術研究所, 研究員
片野 林太郎 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (50231254)
五十棲 泰人 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50027603)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 超伝導体放射線検出器 / 大面積 / 直列結合方式 |
研究概要 |
金属超伝導体はギッップエネルギ-がlmeV程度で、半導体のそれの1/1000程度であるため、超高分解能、超高感度検出器が実現出来る可能性がある。我々は、従来にない大面積超伝導体放射線検出器を開発し、その基礎特性を調査した。本検出器の特色は以下の通りである。 1.単一のSTJ素子は、単結晶サファイア基板上に形成された面積100x100μm^2のNb/AlーAlox/Nb層である。従来のSnの素子と比べてNbのそれは、熱サイクルに非常に強くはるかに実用的である。 2.従来の素子は100x100μm^2以下であったが、本検出器は4x4mm^2の面積上に960個の素子を配し実効面積9.6mm^2という大面積となっている。これによって検出効率が大幅に改善され得る。 3.単一の素子の欠点であった大きな検出器容量と小さな動的抵抗値によって生じる大きなリ-ク電流を直列化によって大幅に低減化できる。これによって信号対雑音比を改善できる。 4.直接放射線を接合部分に受けなくても、フォノン媒介によって放射線による信号を取ることができる。大面積化によって信号電荷収集効率が向上しているため高性能フォノンセンサ-としての応用が考えられる。 Poー210からのα線及びCfー252からの核分裂片をサファイア基板裏面から入射させ完全フォノン媒介による本検出器の基礎応答を調査し、その結果を研究発表表欄に述べる様に公表した。 現在までの成果として以下のことを明確にした。 1.高分解能測定までには至らなかったが、フォノンセンサ-としては十分感度良く、高い信号電荷量の収集に成功した。大面積化によってフォノン収集効率が大幅に改善された。更に分解能劣化の最大の原因は、信号波高が入射位置に依存するためであることを明らかにした。これはバリスティクフォノンの非等方的伝搬性によると思われるが、これに対する改善を現在精力的に行っている。 2.核分裂片による調査から、本検出器の放射線損傷の程度は半導体検出器より小さいことが判った。損傷はサファイア基板に生ずるフレンケル欠陥によってバリスティクフォノンの発生、伝搬が抑制されていると思われるが、核分裂片によって生ずる大きなフォノン密度に起因するフォノン散乱による信号電荷の損失も考えられる。 上述したように、次第に大面積超伝導体放射線検出器の本質が明かになってきており、我々は更に新たな成果を確信している。
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