数値解法を用いた多原子分子の光解離過程とその逆過程の理論的研究

• 研究課題/領域番号: 03640430
• 研究種目: 一般研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 構造化学
• 研究機関: 慶応義塾大学
• 研究代表者: 岩田 末廣 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20087505)
• 研究期間 (年度): 1991
• 研究課題ステータス: 完了 (1991年度)
• 配分額: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円); 1991年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
• キーワード: シュレディンガ-方程式 / 時間依存 / 数値解法 / 光解離 / 放射会合

研究概要

ランチョス漸化式法を有限要素法や有限差分法の行列に応用するには発散の困難がある.この困難を避ける漸化式を導入し,一自由度および二自由度系の有限要素法と結合することに成功した.テスト計算として連続状態に埋もれた共鳴準位の寿命幅の計算,Ar^+_3の光吸収スペクトルの計算を行った.終状態が束縛準位であっても,解離型の準位であってもこの方法では困難なく理論スペクトルが計算できることが明らかになった.
応用計算として,HeLi^+とN^+_2のポテンシャルエネルギ-曲線を非経験的分子軌道法計算によって精度高く計算し,遷移スペクトルを求め,実験と比較し,実験結果を解析することに成功した.N_2については,フランクコンドン分布をこの新しい方法で計算することによって,20evから30eVの領域の光電子分光で観測されたいわゆる電子相関帯をはじめて疑いの余地なく帰属する事ができた.さらに,三原子分子SCOとFCOについてもポテンシャルエネルギ-曲面を求め,解離過程と放射会合過程を研究した.この研究には,時間依存シュレディンガ-方程式も併せて開発し,利用している.

研究成果

• [文献書誌] Miyabi Hiyama,: "The excimer emission spectra and the inteteraction potential energy of the ground and excited states of He and alkali metal ion systems." Chem.Phys.Letters,. (1992)
• [文献書誌] Hidenori Matsuzawa,: "Ab initio study of the infraーred absorption bands and their intensities for ethyleneーhalogen and amineーhalogen complexes." Chem.Phys.,. (1992)
• [文献書誌] Shinkoh Nanbu,: "Theoretical study of the photodissociation cross sections and the photodissociation dynamics of HOCl." J.Phys.Chem.,. (1992)
• [文献書誌] Kangnian Fan,: "Theoretical study on the three isomers of the SiNO radical." Chem.Phys.Letters,. 198. 401-406 (1992)
• [文献書誌] Jun Irisawa,: "Ab initio studies of the lowーlying states of BeO." Theor.chim.Acta,. 81. 223-230 (1992)
• [文献書誌] Sigeyuki sekine,: "Optogalvanic spectrum of the CO L' ^1IIーB^1Σ^+(υ=0)band and electronic structure of the L' ^1II state." Chem.Phys.Letters,. 180. 173-178 (1991)