研究課題/領域番号 |
03640453
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宅和 暁男 島根大学, 理学部, 教授 (70032456)
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研究分担者 |
西垣内 寛 島根大学, 理学部, 助手 (00212118)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1991年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | アリルスズ / 光アリル化 / 光電子移動反応 / 位置選択的反応 / 立体特異的反応 |
研究概要 |
一般に、アリル型メタル反応剤は金属の1,3ー転位などによる立体異性化反応が起こり易く、その位置制御、さくにオレフィンのシス-トランスの立体化学を制御することは極めて難してことが知られている。本研究課題では、メタル反応剤としてアリル型スズ試剤を用いたカルボニル炭素へのアリル基導入反応を光エネルギ-を利用して検討した。 1.ベルジルを電子受容体、アリルスズを電子供与体とする光誘起電子移動反応により光アリル化が高効率で可能であることが判明した。またこの反応で重要な成果はアリル基がそのα位でカルボニル炭素に導入出来ることと、導入されたアリル基は用いたスズ試剤のオレフィン部の立体が完全に保持されているという事実である。このように本研究課題の遂行によりカルボニル基の高位置選択的・高立体特異的アリル化が可能となったことは特質に値する成果である。これは従来の方法はルイス酸触媒反応であり、ルイス酸により試薬の異性化が避けられない条件下での反応であったのに対し、光誘起電子移動反応は中性条件下での反応が可能でありアリルスズ試剤のスズの転位やアリル基のシス-トランス異性化が抑制される反応系であるからである。 2.更に、本研究ではα、βーエノン系化合物の光アリル化も検討したその結果、1,4ー付加反応が選択的に進行し1,2ー付加は全く起こらないことが判明し光誘起電子移動反応の合成的有用性が示された。 この反応は一電子移動を経由するラジカル反応で進行する事実を得ていることから、ラジカル反応で立体化学が制をできるという新しい知見を含んでおり今後さらに展開を図り合成的利用やアルデヒド類のアリル化等に応用し、この分野さらなる発展に寄与したい。 以上のような極めて興味ある成果が本研究で得られたことは研究費の交付があってのことであり厚く記して感謝したい。
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