研究課題/領域番号 |
03640511
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
薬袋 佳孝 東京大学, 理学部, 講師 (10157563)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アクチノイド / ランタノイド / フミン質 / 溶存状態 / 錯生成定数 / 高分子電解質 / 環境動態 |
研究概要 |
環境でのフクチノイドの挙動を推定するために、フミン質とユウロピウム(III)およびアメリシウム(III)の生成定数の測定について溶液化学的手法による研究を行った。得られた生成定数からアクチノイドの溶存状態に関して推定を試みた。実験には土壌や堆積物から抽出・精製したフミン酸ならびにそのモデル化合物であるポリアクリル酸を用いた。ポリアクリル酸については平均分子量の異なるものを実験に供した。フミン酸試料は赤外分光法やpH滴定などによりキャラクタリゼ-ションを行い、その組成を推定した。ポリアクリル酸を含めて組成には相当の広がりがみられた。滴定曲線の解析結果はいずれの試料についても高分子電解質としての取扱いが必要であることを示した。たとえば、みかけのpKaはpHに依存して変化し、高分子電解質としての性質を明確に示した。生成定数の測定法の内、pH滴定および溶媒抽出についてデ-タ解析モデルなどについて検討するとともに両者の結果を比較した。ポリアクリル酸については両者の値はほぼ一致したが、採用する解析モデルによっては相当の懸隔がみられデ-タ解析について慎重な取扱いが必要であることが指摘された。フミン酸の種類による生成定数の相違については溶媒抽出法により検討した。得られた生成定数には大きな相違はみとめられず、組成により違いは小さいものと考えられる。しかし、ポリアクリル酸の生成定数はこれに対して低い傾向をみせ、フミン酸については別の結合サイトの存在が示唆される。ユウロピウム(III)とアメリシウム(III)について生成定数を比較すると、大きな違いはみられなかった。この結果はランタノイド(III)についての生成定数の測定によりアクチノイド(III)の溶存状態の推定がある程度可能であることを示す。以上の結果から、フミン質が溶存状態などに影響を与え、アクチノイドの環境動態に影響を与える場合があることが推定された。
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