研究概要 |
[M_3E_2(diphos)_3]^<2+>(M=Ni,Pd,Pt,E=S,Se,Te,diphos=1,2-bis(diphenyl-phosphino)ethane(dppe)で表される9種類のクラスターと[M_3Se_2(di-phos)_3]^<2+>(M=Ni,Pd,Pt,diphos=1,3-bis(diphenylphosphino)propane(dppp)or1,4-bis(diphenylphosphino)butane(dppb))で表される6種類のクラスターを合成し、[Pt_3E_2(dppe)_3][BPh_4]_2(E=Se,Te)の結晶構造を決めた。クラスターイオンの構造は3つのPtE_2P_2配位平面が2つのμ_3-Eを共有した形をしている。[M_3E_2(dppe)_3]^<2+>(M=Ni,E=S,Se,Te)のサイクリックボルタムグラム(CV)は20℃か-18℃のいずれかの温度で1電子を伴う2つの可逆なカップルを示す。[M_3E_2(dppe)_3]^<2+>(M=Pd,Pt,E=S,Se,Te)のCVはM=Pt,E=Sの場合以外は20℃かあるいわ-18℃で2電子を伴う1つの可逆なカップルを示す。CVから得られた酸化還元電位を同じ金属を含むクラスターについて比較するとその還元されやすさはEについてはTe>Se>Sの順である。[M_3Se_2(diphos)_3]^<2+>(M=Ni,Pd,Pt,diphos=dppe,dppp,dppb)のCVを比較するとdiphos=dppeの場合はすべて可逆である。6員環をもつクラスター(M=Ni,Pd,Pt,diphos=dppp)ではM=N2のみが可逆であり、7員環をもつクラスター(M=Ni,Pd,Pt,diphos=dppb)ではそのCVがすべて非可逆である。つまりキレート環が大きくなるほどCVの可逆性が乏しくなる傾向にある。また、還元電位は7員環をもつ[M_3Se_2(dppb)_3]^<2+>(M=Ni,Pd,Pt)が最も高く、従って還元されやすいことがわかった。5員環や6員環をもつ[M_3Se_2(diphos)_3]^<2+>(M=Ni,Pd,Pt,diphos=dppe,dppp)では還元電位にあまり差はない。
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