研究課題/領域番号 |
03640561
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
可知 直毅 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (30124340)
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研究分担者 |
奥田 敏統 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (20214059)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 砂丘植物 / コウボウムギ / チガヤ / 個体群統計 / 種間競争 / マトリックスモデル / 栄養繁殖 / 種間相互作用 |
研究概要 |
コウボウムギは、日本の海岸植生の主要な構成種である。その優占度は、砂の移動や潮風の影響が小さくなる内陸に向って減少する。コウボウムギの生育地が限られている理由は、この種が海岸の環境(砂の移動、潮風など)に適応した特性をもつと同時に、内陸ではチガヤなどとの競争の結果排除されているためと想像される。この仮説を検証するために、チガヤの存在がコウボウムギの地下茎による繁殖様式にどのように影響するかを解析した。茨城県阿字ケ浦において、コウボウムギとチガヤの混生率が異なる場所を調査地として選んだ。永久方形区を設定し、両種のシュートの生存と成長を調査した。さらに、シュートの成育終了時に調査個体群を掘り取り、シュート間のつながりを調べた。また、コウボウムギについては根際の直径、チガヤについては草丈から、シュート重を推定をした。 コウボウムギのシュートは、春先に地上部の成長を開始しその年の冬に枯死した。娘シュートは、親シュートが枯死した後に形成する、混生されチガヤの密度によらず1親シュートあたり平均1.5個であった。娘シュートは、親シュートの近くに形成される場合と、離れた場所に形成される場合があった。親から離れた場所にシュートが形成される割合は、混生するチガヤの密度が高まるほど減少した。これは、チガヤなどの他種が混生する場所では、コウボウムギは親シュートが枯れた後のギャップを利用して娘シュートを形成する割合が高いことを意味する。推移確率行列から求めたシュート個体群の年増殖率からは、チガヤが混生することによって、コウボウムギのシュート個体群の増殖が抑えられる証拠は得られなかった。一方、チガヤは1親シュートあたり平均1.5個ていどの娘シュートを形成した。地下茎を伸ばして親シュートから離れた場所に形成される娘シュートは、チガヤのシュート密度によらず総娘シュート数の1/3程度であった。
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