研究課題/領域番号 |
03640568
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
手塚 修文 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10109316)
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研究期間 (年度) |
1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1991年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 紫外線 / 近紫外光 / UVーA / 光合成 / 窒素代謝 / 硝酸還元酵素 / クロロプラスト / 生長 |
研究概要 |
一般に紫外線(UV)は植物の生育に阻害作用に及ぼすと信じられているが、これは、現在地球に到達していないUV(UVーB:320ー280nmの一部短波長域やUVーC:280ー200nm波長域)を照射した時の結果に基づくものである。著者らはこれまでの研究において、地球に到達しているUV(UVーA:400ー320nmとUVーB中の290nm以上の波長域)は、植物の生育にプラス効果をもたらすことを確認している。つまり植物の生育には近紫外光(nearUV:400ー300nm)が必須であるという結果を得ている。ここでは(1991年度)、植物の生育の主要素である光合成と窒素代謝におけるnearUVの影響を調べたので、その結果を記す。 圃場に、自然光(290nm以上の波長)を透過するビニ-ルフィルム被覆のハウス(+UV区)と400nm以上の波長しか透過しないビニ-ルフィルム被覆のハウス(-UV区)を設置し、その中で幾つかの植物を栽培した。各植物の葉および葉より分離したクロロプラスト画分を用いて代謝レベルの変動を調べた。葉のデイスクを用いて酸素電極法による光合成活性は-UV区に比べて+UV区で高かった。また、カルビン・ベンソン回路中の幾つかの酵素活性も+UV区で高かった。さらに分離したクロロプラスト画分をSDSーPAGEにかけたところ、+UV区で-UV区よりも濃いバンドが見られた。従ってこれらの植物の光合成促進は酵素による代謝レベルの調節反応の促進によるのではないかと考えられる。また、+UV区の葉中では蛋白含量が多かったことから葉の硝酸還元酵素活性を測定したところ-UV区よりも+UV区で高い値が得られた。この値が酵素の活性によるか酵素の誘導によるかは不明であるが、nearUVは窒素代謝にも関与していると思われる。ナス果実は+UV区では露地物と変わらない形状・サイズ、着色(紫)を呈したが、-UV区では短小で且つ紫に着色しなかった。以上のことから、太陽光中のnearUVは光合成系や窒素代謝系を促進し、植物の生育を良くするための必須要因であると断定される。
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