伊豆諸島の各島、沖縄本島および本州の静岡県・千葉県に旅行し、材料の入手に務めた。入手した材料の一部は直ちに実験に供した。残りの材料は超低温庫に保存し、後日実験に用いた。 伊豆諸島で採集した50種あまりの植物と関連のある本州ならびに沖縄本島の植物について蛋白質の多型およびDNA制限酵素断片長の多型を予備的に解析した。50種のうち、ヤマサギソウ・オミナエシ・ヤマユリ・マイヅルソウ・キブシ・ヤマツツジ・ホトトギスについて蛋白質の多型についてより詳細な解析を行なった。これらの植物の予備的な解析結果は以下の通りである。 1)伊豆諸島の植物は本州の植物に比べ集団内の多型が少ない。すなわち、伊豆諸島の植物の集団の多様性は本州の植物集団より低い。 2)伊豆諸島の植物集団は本州および沖縄の植物集団からある程度分化している。 3)現在得られたデ-タだけでは現時点で分化の年代の推定は困難である。従って、本州を南下して伊豆諸島に到達した植物群と沖縄方面から東下して伊豆諸島に到達した植物群の分化年代の古さを決定することは出来なかった。 今年度の科研究費の交付決定が遅かったため、実験する時間があまり無く、採集したサンプルが未解析で超低温庫に保存されている。今後この材料を用いて解析を進める予定である。
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