研究課題/領域番号 |
03640597
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 真彦 横浜市立大学, 大学院総合理学研究科, 教授 (50124673)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | サケ / ヒメマス / 性行動 / ニューロエソロジー / 受精 / コバルトイオン / 振動刺激 / 筋電図 / 側線神経 |
研究概要 |
魚類のように、水中で体外受精を行う動物にとっては、放精と放卵のタイミングが正確に一致していることが、受精を成功させるために必須となる。ヒメマス(陸封型ベニザケ)では、雌雄間で信号を交換すること、即ち、互いにコミュニケートすることにより、配偶子放出のタイミングを一致させている。 本研究の目的は、行動学的手法および電気生理学的手法を用いることにより、(1)雌雄間で交換されている信号は、なにか?、(2)その信号を受容・処理している感覚系は、なにか?、および(3)信号刺激の中枢における情報処理のプロセス、を明らかにすることにある。 平成3年度までの研究により、(1)雄の放精に先だって雌に体振動が、雌の放卵に先だって雄に体振動が記録されることから、ヒメマスは、体振動に由来する信号を互いに交換することにより、放精と放卵の同期化を達成していると考えられること、および(2)模型堤示実験から、振動的信号の他に視覚的信号が関与しているが判明している。 平成4年度は、振動的信号の受容・処理に、側線神経系が関与しているかどうかを決定するために、コバルトイオン(他の魚種で、環境水中に投与すると、側線受容器が特異的に阻害されることが知られている)の性行動および側線神経応答に及ぼす効果を、行動学的手法と電気生理学的手法を組み合わせて調査した。さらに、側線神経系の第1次中枢(延髄内側核)から、電気的活動を記録し、振動刺激に対する応答を調べた。 その結果、(1)ヒメマス雄を1.0mMコバルトを含む水の中で、1-1.5時間以上泳がせておくと、振動模型に対する放精行動、および振動刺激に対する側線神経応答が、顕著に阻害されることが判明した。0.1mMコバルトも同様の(但し、弱い)効果を示した。このことから、雌からの振動的信号が側線神経系で受容・処理されて、雄の放精行動が発現するものと考えられる。 また、(2)延髄内側核からは、振動刺激と同期した電場電位が誘発されることが判明した。 今後は、側線神経系の中枢(延髄・中脳半円隆起)における、振動信号の処理過程について調査したい。
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