研究概要 |
研究はおおむね順調に経過した。発生過程でのペプシノゲンの変化をウサギ,ニホンザルで調ベた。ウサギでは胎児期に特有な成分が検出された。cDNAクローニングから構造が明かとなったが,従来知られているどのペプシノゲンにも属さないことから,新たにペプシノゲンFと命名した。発生過程でFから成体型成分に発現が切り替わることが明らかになった。ニホンザルではFに相当する胎児に特有な成分は見いだされなかった。成体型の成分の数はウサギ,ニホンザルとも非常に多く検出された。cDNAクローニングから,各々は一次構造に違いがみられ異なる遺伝子産物であることが明かとなった。各成分の発現は発達過程で大きく異なり,一定の順序で逐次発現することが明らかになった。これはウサギ,ニホンザル共通であり成体型ペプシノゲン発現の一般的法則と考えられる。これらの研究でペプシノゲンの成分の数が予想以上に多いこと,さらにそれらが発生過程で大きく変化することが判明した。このため対応すめ遺伝子の数も多く,その単離と同定に時間を要した。ウサギ,ニホンザルともに遺伝子ライブラリーは完成し,数個の遺伝子の単離に成功した。本研究の成果は,動物学会,生化学会,国際霊長類学会で発表した。また複数の論文として発表,また発表予定である。
|