研究概要 |
ジャンガリアンハムスターは、冬期に日内休眠を示す。そして、体重摂食量などの年周変化と密接な関係をもち、光周期、温度などの環境要因に影響される。そこで、まず第一に準自然環境における種々の生理的パラメーターの変化を調べるために、ハムスターを屋外のベランダにおいた。この結果を、「屋外飼育下におけるジャンガリアンハムスターの年周期性」としてまとめた。次のこの年周期性において、光周期と温度がどのように関与しているかについて解析した。体重、摂食量、食物貯蔵、被毛の色の年周期性において、光と温度がどのような役割を果しているかについては、すでにMasuda and Oishi(1988)において解析しているので、ここではさらに詳しく体成分に対する影響および活動リズムに対する影響について調べた。その結果を「ジャンガリアンハムスターの体成分に及ぼす光周期と温度の影響」および「長日および短日飼育下におけるジャンガリアンハムスターの活動リズム」にまとめた。また、体重の変化と摂食量との関係を明確にするために、制限給餌により調べた。その結果は「制限給餌による体重変化の要因解析」にまとめた。これら種々の生理的パラメーターの変化のもとには内分泌的変化があることを明らかにするために、生殖腺刺激ホルモンおよびそのレセプター、また甲状腺ホルモンについて解析した(Tsutsui et al.,1988,1989;Masuda and Oishi 1989)。さらに、これらホルモンの投与がどのような影響を示すかを検討し、「体重および摂食量の変化におよぼす生殖腺、生殖腺ホルモン、メラトニン、甲状腺ホルモンの影響」にまとめた。日内休眠についてのデータはあまり取れなかったが、日内休眠の研究の基礎となる種々の生理的パラメーターについてのデータが得られた。今後、これらをもとにして、日内休眠のメカニズムを追求していく。
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