研究概要 |
1.日本産板皮類化石についての分類学的・形態学的・組織学的研究:岐阜県上宝村の福地層群(下部デボン系)から発見された棘胸目に属する板皮類の皮甲化石について,その形態・内部構造を観察・比較した結果,骨板の縫合が不明瞭で,星形の結節が表面をおおうことなどの特徴から,,パラエアカンタスピス科のRomundinasp.indet.の肩帯を構成する棘板・前外側板・前側腹板などであると報告した(大倉・後藤,1992)。 2.日本産初期中生代の板鰓類化石に関する研究:京都府夜久野町の夜久野層群(中部三畳系)産のHybodussp.の歯,同町の難波江層群(上部三畳系)産のAcrodus sp.の前歯,宮城県志津川町の志津川層群(下部ジュラ系)産のAsteracanthus sp.の側歯について,形態学的特徴を記載した(後藤・久家・蜂矢,1991)。 3.軟骨魚類の歯の形態・組織に関する進化学的研究:現生および化石軟骨魚類の歯の外部形態と組織構造に関するこれまでの研究を総括し,生態・食性・系統との関係を考察した(Goto,1991)。 4.日本産の初期中生代・古生代の魚類化石に関する総括:日本産初期中生代および古生代の魚類化石を総括し,22属31種に分類した(Goto,1992;1993)。その内訳は,板皮類(下部デボン系)1種,板鰓類(ペルム系〜ジュラ系)15種,コクリオダス類(ペルム系)2種,ペタロダス類(石炭系〜ペルム系)11種,硬骨魚類(三畳系)2種であった。今後の発見と研究により,その種類と数はさらに増加することが予測される。 5.脊椎動物における硬組織の起源と進化に関する研究:原始無顎類において過剰なカルシウムの排泄物として形成された皮甲(外骨格)は,高等動物の皮骨・歯として受け継がれる一方,初期には軟骨であった内骨格は次第に骨に置き換えられ,陸上での移動に必要不可決の支持組織となった。(Goto,1993)。
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