研究課題/領域番号 |
03640663
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新井田 清信 北海道大学, 理学部, 講師 (30111149)
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研究分担者 |
中川 光弘 北海道大学, 理学部, 助手 (50217684)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 上部マントル / カンラン岩 / 部分融解 / ハンレイ岩 / 融解実験 / ソリダス / 角閃石 / マグマチャネル / 幌満カンラン岩体 |
研究概要 |
上部マントルカンラン岩とそれに随伴する層状〜ポケット状のハンレイ岩は、一般に、部分融解メルトと残留固相の化学組成を示さない。両者の成因関係(上部マントルプロセス)を明らかにするために、少量部分融解の際のメルトの挙動を検討した。本研究では、(1)MORBパイロライトのH2O不飽和ソリダスを決定し、ソリダス周辺の相関係とパーガサイト質角閃石の安定限界に対する全岩化学組成の影響を明らかにした。次に、(2)含水カンラン岩(MORBパイロライト)に幌満ハンレイ岩(Horoman-GBI)をサンドイッチ型に挟んで、少量部分融解実験を行なった。また、(3)上部マントルカンラン岩の少量部分融解に関する天然の実例として、カンラン岩中のマグマチャネル周辺の壁岩(カンラン岩)を検討した。その結果、以下の諸点が明らかになった。 (1)MORBパイロライトのH2O不飽和ソリダスは、T=1000℃で最高圧力28kb、P=18-23kbで最高温度1075℃に位置する。決定されたソリダス周辺の相関係は、このソリダスがパーガサイト質角閃石の脱水分解ソリダスの性質をもち、全岩化学組成のNa2O+K2Oに支配されることを示す。 (2)H2O不飽和の含水条件(P=10kb、T=950〜1175℃)におけるハンレイ岩の両者の10kbソリダスの位置はT=950℃付近である。カンラン岩がソリダス直上で少量部分融解メルトを生ずるとき、ハンレイ岩は約50%のメルトを含む。また、角閃石の安定限界はカンラン岩とハンレイ岩で異なり、ハンレイ岩中の角閃石の安定限界はカンラン岩より高温側(1050〜1075℃)にある。このことは、上部マントルで含水カンラン岩が少量部分融解を生じるとき、カンラン岩中の角閃石は分解するが、ハンレイ岩層中では角閃石は安定に存在しうることを示す。 (3)北海道中軸帯のカンラン岩中には、多数のマグマチャネルが認められた。その好例は、幌満カンラン岩中のウェプステライト〜ハンレイ岩岩脈およびペンケヌーシカンラン岩中のスピネルダナイト〜カンラン岩混在岩層などである。これらのチャネルの周辺では、少量部分融解メルトの涸渇や通過メルト付加によるカンラン岩の置換(replacement)が生じている。
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