研究概要 |
マイクロプローブによって,火山岩および深成岩中の副成分鉱物であるリン灰石,カツレン石,ジルコンに含まれるハロゲン元素および希土類などの微量元素を分析する方法を改良,確立した。微量元素のうち,F,Cl,Sr,Y,La,Ce,Nd,Sm,Gd,Dy,Er,Yb,Zr,Hf,Thを対象にした。火山岩中の石基のリン灰石はきわめて微細な結晶であり,また深成岩中のカツレン石とジルコンは累帯構造が著しいので,スポット分析を用いた。そのために,反射電子線像観察システムを改造して,これを用いてモニターしながら分析する方法をとった。微量元素の弱いスペクトルのS/N比を向上させるために,パルスハイトアナライザーを応用した。主成分元素は加速電圧15KV,試料電流2×10^<-8>Aの条件で,そして微量元素は20〜25KV,試料電流8×10^<-8>〜1.5×10^<-7>の条件で分析した。したがって,異る加速電圧の下で得られた強度データにも対応できるように,ZAF補正計算プログラムを開発した。得られた分析植の検出限界は,F200ppm,Cl40ppm,Y210ppm,La100ppm,Ce100ppm,Nd230ppm,Er120ppm,Yb120ppm,Th200ppmである。 溶岩ドームをつくる石英安山岩の石基のリン灰石のハロゲン含有量の変化パターンは,マグマの脱ガス過程の良い示標になることが明らかになった。花崗岩質の深成岩では,全岩REEの大部分が副成分鉱物に含まれていることがわかった。特にカツレン石は軽希土類元素を分別するので,フェルシックマグマでは,結晶分化作用の進行によって,軽希土類元素含有量が低下して,重希土類元素やThの含有量が増加し,Hf/Zr比が高くなる。
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