研究概要 |
中国東部に産する累進超高圧エクロジャイトの構成紘物の累帯構造や包有物に注目して,累進PーT履歴を検討した。 累進的に形成されたざくろ石中の主要な包有物は,オンファス輝石・ゾイライト・角閃石(パ-ガサイト〜タラマイト)・フェンジャイト・パラゴナイト・藍晶石・ルチル・コ-ス石もしくはその仮像である,そのほかに重要な包有物として,斜長石,十字石+パラゴナイト+パ-ガサイト,およびマ-ガライトが包有物として見いだされた。これらの事実と藍閃石やロ-ソン石など藍閃石片岩相に特有な紘物が包有物として見いだされないことを考慮すると,本地域の超高圧変成岩類は(緑れん石)ー角閃岩相→石英ーエクロジャイト相→コ-ス石ーエクロジャイト相の経路で形成されたと推定できる。 ゾイサイト・藍晶石・SiO_2相と共存するざくろ石とオンファス輝石の組成を用いて,エクロジャイトの平衡条件を推定した。その結果,超高圧変成岩類はいったんコ-ス石の安定領域に達した後に,ゆっくり上昇しつつ加熱され続けたと推定される。以上の点を説明可能なモデルとして,(1)沈み込み帯における(緑れん石)ー角閃岩相の変成作用,(2)地塊の衝突と衝上にともなうほぼ等温的な圧力上昇とコ-ス石ーエクロジャイト相での再結晶および(3)周囲の熱いマントルからの加熱にともなうほぼ等圧力条件下での累進変成作用の進行,が考えられる。
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