研究概要 |
含ニッケル・ラテライト鉱床の風化過程における元素の挙動に関しておもにフィリピンのいくつかの同型鉱床での産状,鉱床プロファイル,基盤岩との関連,構成鉱物の性状,化学成分,生成過程などについて研究をおこなった。 超塩基性岩に由来するこれら風化残留鉱床はおもに原岩の構成鉱物や化学組成およびラテライト化/サプロライト化作用の変質程度などに規制され,さらに地形・氣侯などの要因も加わってより複雑な過程を経て生成されるのであろう。含ニッケル・ラテライト鉱床プロファイルの基盤岩→サプロライト層→ラテライト層の区分で,その風化作用過程下で構成して元素が地表から下部へそれぞれの条件に適した所へ再配分され結果として地表より深部へいくつかの分帯が形成される。したがってこれらの要因の影響は鉱床プロファイルでの深度別の試料の構成鉱物や化学組成などにあらわされていることが考えられる。 ラテライト層中のニッケルの形態はおもに水酸化物の形で針鉄鉱にともなわれ,サプロライト層中では1部含水ニッケル・鉄・マグネシウムけい酸塩の形で存在すると思われる。 化学成分的に,上述のプロファイルの3区分で基盤岩からラテライト層にかけてFe_2O_3の増加,SiO_2,MgOの減少という主成分の移動は,一般的にいわれているラテライト化作用での傾向と同じではあるが,局部的に2次的のSiの濃集帯があったり,ニッケル成分のとくに高い帯があったりして,生成作用の過程での複雑性を示している。鉱床プロファルの深度による各層での磨はくpH値はサプロライト,基盤岩でアルカリ性,ラテライト層ではより酸性を示し,各層での元素の移動・集積の挙動と関連している。
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