研究概要 |
超LSIのの基本材料の一つである多結晶シリコン(ポリシリコン)の表面・粒界及び酸化膜との界面をオ-ジェ電子分光法,光電子分光法,質量分析法,四探針法等を駆使し,原子的レベルで評価し以下の知見を得ている。 1.高濃度リンド-プポリシリコン(P=10^<20>ー10^<21>/cm^3)は自然酸化しやすく,酸化に際して表面にPを引き寄せる。超高真空中加熱により多量のPが自然酸化膜/シリコン界面にパイルアップし,そのためSi原子の表面偏析を引き起こす。また加熱に際し局所的な高濃度Pの存在のため、弱い環から部分的に酸化膜の分解脱離が多量のガス放出を伴って起こる。これらの結果はリンド-プポリシリコンを用いたデバイスの劣化との関連が深い。 2.上記現象にくわえ,ポリシリコンの粒界には酸素,水素,炭素等の不純物が存在し,超高真空中加熱によりパルクの状態を変えないで清浄表面を得るのが困難であることを明らかにした。そこで,超純水,高純度薬品による化学的清浄化を試みた。(1)希釈HF浸漬によりポリシリコン表面の水素終端化を行い,従前のRCA洗浄に比べて著しく表面が不活性化されることを明らかにした。(2)高濃度リンド-プの単結晶とポリシリコンについて,酸性溶液中(3HCl+H_2O_2+H_2O)で炭素フリ-の薄い保護酸化膜を形成し,超高真空中加熱による保護酸化膜の分解脱離行った。その結果,両者とも酸化膜中の炭素量が大幅に減少するとともに,500Cの低温から顕著な酸化膜の分解脱離が認められた。この方法による保護酸化膜の主たる化学状態は,通常の自然酸化膜がSiO_2であるのに対して,Si^<3+>,Si^<2+>が相当含まれており,このことが低温分解脱離の一要因であることを示唆した。(3)BーAゲ-ジを改造した簡単なイオンスパッタ装置を起ち上げ,高濃度リンド-プの単結晶シリコンで(2X1)再構成表図を作り,気相水素化で(1X1)水素終端面に変換し,その面が酸化や炭化に対して不活性であること,また水素終端面は電子ビ-ム照射で活性化することを確認した。
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